第1回日本眼科アレルギー学会を主宰させていただきます順天堂大学医学部附属浦安病院眼科の海老原伸行でございます。どうぞよろしくお願いいたします。日本眼科アレルギー学会は2017年9月に日本眼科学会のご承認のもと正式に発足した新しい学会であります。またその前身であります日本眼科医会アレルギー眼疾患調査研究会や日本眼科アレルギー研究会の発足は古く、今まで眼アレルギーの臨床・研究に携わられた数多くの眼科医がいることは皆様も良くご存知だと思います。一方、近年のアレルギー疾患患者の増加は国民的問題であり、厚生労働省が平成29年3月に告示した「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」においても、アレルギー疾患医療の質の向上及び提供体制の整備、国民への適切な情報提供、革新的な治療法の開発、地域格差の是正のためには国と関連学会との連携が必要とあります。しかし、内科・耳鼻科・皮膚科・小児科などでは以前よりアレルギー関連学会が存在しましたが、眼科ではありませんでした。そこで研究会を学会化することにより眼科医・他科のアレルギー医・アレルギー基礎研究者の関心を喚起し、眼科アレルギー学の発展と国民への情報提供を目標にしました。そして第1回日本眼科アレルギー学会学術集会の開催となりました。本学会ではシンポジウム(1)でアレルギー性結膜疾患のバイオマーカーについて検討致します。疾患の病態、予後、薬剤感受性を示す適正なバイオマーカーの提示は将来のprecision medicineにつながります。またシンポジウム(2)では、アレルギー性疾患の新しい展開としてドライアイ、網脈絡膜疾患、緑内障とアレルギーとの関連を検討します。
アレルギー疾患の特徴は、それぞれの臓器特異性以外にアレルギー体質により多臓器にアレルギー疾患が共存しお互いに病態・臨床症状に影響を与え合っていることです。ゆえに、本学会には眼科医のみでなく皮膚科医、耳鼻科医、呼吸器内科医、小児科医をはじめとする他科医師とcross talkする機会を設けたいと思います。アトピー眼瞼皮膚炎、スギ花粉舌下免疫療法、新しい生物(抗体)製剤による喘息治療、アトピーマーチについて専門家の先生にお話をお聞きします。また最近のアレルギーの基礎研究のトピックスである病原性記憶Th2細胞などについての講演もございます。第1回日本眼科アレルギー学会に参加すればアレルギー性結膜疾患の診断・治療だけでなく他科領域との関連や最新のアレルギー学の基礎研究テーマが理解できると思います。皆様の明日からの診療にお役に立つ知識のみでなく、アレルギー学のすそ野の広さや学問的興味を喚起する学会になるよう努力したいと思います。しかし学会のメインは一般演題なので、数多くの領域の皆様のご参加を希望しております。どうぞ第1回日本眼科アレルギー学会にご参集ください。